《MUMEI》
第1話「次、降ります」2
…)

そんなことを不思議に思っているとバスがやって来た。

「うわあ…」

バスの中にはバス停とは違い今にも爆発してしまうのではないかと思うぐらいたくさんの人で溢れそうになっていた。

車内の温度が異常に高い。春の朝とは思えないまるで真夏の暑さだ。それでいて湿気があるのかジメジメとしている。

顔をシャツやハンカチで拭いている人も少なくはないようだ。

(暑い…)

額にしたたる汗を必死に拭いながら私もこの異常な暑さに耐えていた。

プシューと音がしてドアがしまると人と人とが密着しあいさらに温度が高まった。

灼熱地獄とはこのようなことをいうのだろうか。

走るバスの窓から時々入ってくる風が唯一の救いだ。

「ふ〜気持ちいい」

次のバス停に着くと意外にも3分の1くらいの人が降りていった。いつもならこのバス停ではこんなにたくさんの人は降りない。

(暑さに耐えられなかったのかな?)

私は特に気にもとめず空いた席に座り窓を全開にした。

窓から一気に涼しい風が入ってくる。私はあまりの心地よさに眠ってしまった。

「…はっ起きなきゃ!」

目を覚ますと私はバス停にいた。周りには眼鏡をかけたサラリーマン風の男

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