《MUMEI》
第1話「次、降ります」3
や杖をついたよぼよぼのお婆さんがいる。

「なんだ、夢か…あっ私汗かいてる」

額の汗を拭っているとバスが来た。

「うわあ…」

バスの中は夢の中ように人で溢れかえっていた。中の蒸し暑さが外にいても伝わってくる。

(乗りたくないな〜…)

と思いつつも学校に遅れるわけにはいかずしぶしぶ乗ることにした。

プシューと音をたててドアがしまる。車内はさらに蒸し暑くなった。

(はやく座りたいな…)

そんなことを考えている次のバス停についた。人がどんどんと降りていく。私は空いた席に座った。

「ふ〜…」

窓から入る涼しい風に長い髪をなびかせながらいつの間にか私は眠っていた。

「…うーん、また寝ちゃった…へっ?」

辺りを見回して初めて今の状況がおかしいことに気づいた。

私は何故かバス停にいた。

バス停には眼鏡をかけたサラリーマン風の男。杖をついているお婆さんがいる。

「なんで…」

優しいそうなお婆さんが私を見て少し笑ったような気がする。

受け入れたくない現実から目を背けようとしたがバスは来てしまった。

「…」

バスの中は人で溢れかえっていた。私は乗車することに戸惑を隠せず躊躇していると運転手

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