《MUMEI》 第1話「次、降ります」4らしい人がこういった。 「乗らないんですか?」 私は結局、あの蒸し暑いバスに乗ることにした。 (次のバス停で絶対降りよう) そう心に誓い灼熱地獄に耐えた。 今気づいたのだが乗ってる人も夢の中の人と同じだった。いや、もしかしたらこれも夢かもしれない。 そんな自問自答を繰り返していると次のバス停に近づいてきた。私は急いでボタンを押した。 「次、止まります」 ボタンが赤く光り、機械的なアナウンスが灼熱地獄に流れる。 そしてバスは止まった。 すぐにバスが止まると私は一目散にバスから降りた。そこには… 「なんで…」 バス停にはサラリーマン風の男とよぼよぼのお婆さんがいた。 「ねえ、あなた聞いてくれる?」 「何?」 夕食中、急に妻が話しかけてきた。 「朝ね、真理子の声が聞こえたような気がしたの…」 「…もう一年だもんな…」 私の娘は真理子といった。 元気で活発な娘だったが一年前にバスの爆発事故で死んでしまった。真理子は全身に大火傷を負っていた。 他にも若いサラリーマンやよぼよぼのお婆さんが亡くなったらしい。 私はいった。 「真理子帰ってきてるかもな…」 前へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |