《MUMEI》 寝る「おい……」 「ちょっと黙って」 ミユウは、いつもよりもきつい口調で言った。 まだ、息が切れている。 気のせいか、顔色も悪いようだ。 ミユウは息を整えるように大きく息を吐くと、ようやくタイキを見た。 「喉、渇いたんだけど」 「……は?」 「なんかない?」 「いやいや、その前にこの状況を説明しろよ。警察に追われてるんだろ?おまえ、なにやったんだよ」 「なに言ってんの?追われてなんか…」 ミユウが言いかけた時、突然電子音が鳴り響いた。 思わずタイキは自分の携帯端末を見るが、鳴っているのはミユウの端末の方だった。 ミユウは素早く端末を開く。 メールの着信だったようだ。 ミユウはいくつかキーを叩くと、すぐに端末を閉じてしまった。 「早く、喉渇いたってば」 「……僕はパシリじゃないっつうに」 文句を言いながらも、やはりタイキは動いてしまう。 ジュースをコップに入れて、無言でミユウに渡す。 ミユウは、それをやはり無言で受け取って一気に飲み干した。 「……で?」 しばらくの沈黙の後、しびれを切らしてタイキは聞いた。 「なにが?」 「だから、なにしてきたんだって」 「あんたに関係ないでしょ」 「……ここ、僕の家なんだけど?」 「そうだね」 「それだけ?」 「なに、あんた。言いたいことがあるんならはっきり言えば?……あー、眠いから寝る」 「えぇ?」 戸惑うタイキを無視して、ミユウはそのままベッドに寝転んで動かなくなった。 前へ |次へ |
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