貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
また朝が来る。
わたしたちはずっと話し続けた。
夜通し、朝が来ても、それでもまだ話して居た。


「順番がおかしいね」なんてケラケラ笑いながら、本格的な自己紹介。

「百瀬亜希、19歳、学年で云ったらあんたより一つ上かな?」


知らないことが色々アキの口から語られる。

「高校は、最初の夏休みでやめた。あれって、大学行く為の資格みたいなもんじゃん?…あたしは大学に行く気はなかったし、意味ないやって」

「夢とかやりたいことがあったの?」

「なぁんもない。…つか、さっきのは建前でさ、あたしいじめられてたのよねぇ」

「いじめ…?」

「うん。『私の彼氏取ったでしょ!?』とか云われて…、女のいじめは陰湿じゃない?」

「うん…」

「二日で学年中の女が敵になってた。右に行っても左に行っても、待ってるのは言葉の暴力。あたしは学校に行き続けてたけどね。」

「……」


「まぁ、結局その女の勘違いでさ、いじめ自体は夏休み前になくなったんだけど、だぁれもあたしに謝んないわけ。急に普通に『百瀬さ〜ん』とか云ってんだもん。そんなヤツらと3年間やってける訳ないやって思って、自主退学を選んだのよ」

「そっか…」


「今はやめて良かったと思ってる。フラフラ暮らしては居るけど、密度は確実に高校より濃いし、何より楽しいし♪」



アキは話してる間、ずっと笑顔だった。
無理してしてる訳じゃなくて、すごく自然に。



わたしもこんな風に笑いながら話せる日が来るのかな?


アキのことを。

前へ |次へ

作品目次へ
無銘の作品を探す
無銘文庫TOPへ