《MUMEI》 コレカラそれからあたしと猛は救急車に乗って近くの病院まで行った。 猛は血だらけのあたしを抱いていたからいたるところが赤く染まっていたし、あたしは、自分の身体が運ばれてるんだからと思ってついていった。 「猛・・・だっけ?ありがとう」 「は?」 猛は行動こそは誠実だけど、言動はとても誠実とは言えない。 「だから、死んでるあたしのために救急車呼んでくれてどうもっ!」 あたしがそう言うと猛は「あぁ」という顔をした。 「俺の目の前で人が血まみれになってて、それを見てみぬ振りするにもできねぇだろ。」 なるほど・・・。 この人は“あたしのため”じゃなくてあくまでも周りの目を気にして・・・“自分の評判のため”にイロイロしたわけだ・・・。 「ああー!お礼言って損した!」 「あぁ?!なんだとテメェ!血だらけの身体持ってきてやったのはこの俺だぞ!?」 いきなり猛が声を荒げたのであたしは驚いた。 「だからお礼言ったのに・・・。」 「じゃ、俺いくから。お前どうすんだよ。」 そういわれて気付いたけど、あたしには行き場所が無い。 前へ |
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