《MUMEI》
玄関のドアが僅かな音をたてながら閉じきる頃には、
俺達はきつく抱き合いながら唇を重ねていた。
しかも俺より裕斗の方が積極的で、俺の方がシューズボックスに追い詰められた。
「会いたかった…」
裕斗は俺の肩に顎をのせながら背中に腕を回し、溜め息まじりに吐いた。
「バカ、何言ってンだよ…、それは俺の台詞だって…」
▽
シャワーを浴びたばかりの裕斗はテレビを見ながらソファに座ってる。
「ほらよ」
俺はペットボトルを渡してやり隣に座る。
「有難う」
裕斗はキャップを開けて飲みだした。
俺は裕斗の肩に下がったバスタオルをするっと取りあげ、雑に拭いただけの滴が落ちる髪を拭いてやる。
「もー風邪ひくってよ、ゆうちゃんは本当いっつも雑だよなぁ」
「雑じゃないよ、ちゃんと拭けてるもん」
珍しく露骨に拗ねている表情。
それだけ気を許してくれてるんだって思うと、何だか可愛いくて仕方がない。
「ほら、首に垂れなくなった、ボサボサになっちまったけど」
俺が手櫛で髪を撫で整え始めると、今度はぽっとした表情で黙って俺を見ている。
コロコロ表情が変わって本当…飽きねえ。
「な、エッチしよっか…」
「…うん、する」
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