《MUMEI》
鳴海那智
僕は医者だ



僕には今、許せない奴が居る



僕の患者に幼稚園の男の子がいる



その子は、いつも来る


≪どうしたのかな?≫



≪転んだの・・≫



翌日も来た



≪今日は、どうしたのかな?≫



≪落っこちたの・・・≫



その子は、いつも父親に連れられて来ていた



明らかに虐待の跡である



児童福祉相談所に言う事も出来た



しかし僕は言わなかった



言わない変わりに僕が仇を討ってやる事にした




カルテの住所を探して行く




<ビシッバシッ>

<ガターンッ>


≪止・め・・て お・とう・さ・ん・・いたい・・・・よぉ・・≫



僕は、窓から、その家の中の光景を見てしまった



那智は遠い何かを思い出していた




那智は男の子の家に入る




男の子は気絶している



その傍らに父親が立っていた




僕は気付かれない様に後に回り、父親の首をメスで切りつけた

二度と生き返らない様に・・・

<ビシャァァ_______________ツ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



勢い良く血の雨が降った



男の子の父親は崩れ落ちた





那智は塀の中に居る





≪あの男の子は大丈夫かな?≫




あの子の可哀相な姿を毎日、診ているより、ここの暮らしの方が全然いい




那智は幼い頃、虐待されていた




親は教育だとか、しつけだとか言っていた




結局、愛情に飢えた医者が誕生した




何故だか気分が良かった



≪幸せだ≫



僕は本当は、自分の親を、こうしたかったのかも知れない・・




≪アナタも来てみませんか?≫

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫