《MUMEI》
取り戻したモノ
.






「雅樹さぁ…料理番組にでたこと…ないよね??」


「はい。ないです」


やっぱり嘘だったのか…。


結局、私がスパゲティをつくりなおして食べることにした。



「秋菜は料理うまいんだなぁ〜」


「そうでもないけど…」


「うまいじゃん!!才能ある!!」


雅樹ができないだけ……なんだと思うけど…。


コレぐらい誰でもつくれるモノだし。


「秋菜はいい嫁になりそ―♪」


「冗談はいいから」


「いや、本当だって!」


「私は誰とも結婚とかしないから……」


「何で??」


「えっ…」


そんなの…………


理由は一つしか……


「他人ばっかの言いなりに埋もれながらこれからもずっと生きて行かなくちゃいけない……とか思ってんだろ?そんなこと俺はいいと思えないね」


「えっ……」


「秋菜は恋したことねぇから分かんねーかもしれないけど、いつか恋する日がくるだろ?そしたらソイツとずっと一緒にいたいと思うだろ?そしたら結婚したいって思うじゃん」


「私は……………」


「秋菜は弱い奴なんだな…。強そうにみえて。辛い過去ばっかなんだろ??でもさ…そんなのに負けてどうすんだよ?」




雅樹は………



私と違ってとても強かった。



雅樹の言ってることは全て正しかった。



「秋菜は秋菜なりに生きていいと思う。だって秋菜自身の人生だろ??何で他人ばっかの為に生きる?」


「雅樹…………ありがとう…初めてそんなこと言われた…」


私…………



忘れてたんだね。


"生きる"とゆうことを。


負けてたんだね。


自分の過去に。


"秋菜は秋菜なりに生きろ"


本当は誰かにずっと言われたかったのかもしれない。


他人ばっかの為に生きているなんて、おかしいよね……。


「ありがとう…雅樹…!!」


私は何年ぶりか分からない笑顔を雅樹にむけた。


「可愛いじゃん」


「えっ?」


「笑った方が可愛いじゃん♪」


雅樹はそう言って私の頭を撫でた。












「毎日、その笑顔みせてくれよ」












ねぇ雅樹…………




雅樹のおかげで私は忘れていた何かを沢山、取り戻すことが出来たんだよ?






そう…………





人を愛することも………。






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