《MUMEI》
騒然と符
「数が違いすぎ!!防御シールド展開できるのは展開して!!迎撃しないと・・」
店の外でも戦闘音が聞こえている。
崩れた壁を乗り越えるように次々と店内に侵入してくるリザードマン、ゴブリンを始め、数十種にも及ぶモンスターが襲い掛かってきた。上空にはリザードフライの群れ。
「空に敵が居るってのは嫌いなんだけど・・贅沢は言えないか。」
店内にいた人々は自然と遠距離攻撃職を中央に幾つかの集団に分かれて迎撃している。
「空のを先に片付けるよ!!ちゃんと守ってよね!!」
想花も数人に守られながら詠唱を始める。狩月は近くに居た弓使いを守りながら戦っているが、経験不足が浮き彫りになっている。
「く・・この!!」
必死に攻撃をするが、数が違いすぎる。店内で戦っていた幾つかの集団も次第に外へと後退している。
一方、巴は店内を縦横無尽に飛び回りながら手に持った符をナイフのように硬化させモンスターを斬り捨て、空のモンスターには符を投げ、爆炎や真空波を発生させてなぎ払う。
符術士特有のオールマイティな戦い方を的確に使い分け確実に数を削っていく。
「大技で一気になぎ払わないと・・キリが無いね・・狩月、しばらく援護を!!」
100枚近くの符を上下左右の四方向に放つ巴。
「最善は尽くす!」
魔力を一気に体に流す。
身体強化、ホークアイ、マジックソード使える全ての技能を最大限に発揮させる。
「バンプさんの真似に過ぎないけど・・・一発分くらいの時間は!!」
体、剣が纏うは純粋な狩月の魔力。
制御しきれない魔力は緋の燐光となり散り始め、ハンディングから貰った指輪に流れ込んだ魔力は風を巻き起こす。
「ブースト」そう呼ばれる自己魔力の強制使用。接近戦闘術の基本である身体強化を発展させたスキル。第6位に分類されているが・・属性による分類はされていない。
時間の感覚がゆっくりと変化していく。
今まで勘で避けていたものが見えるようになっていく。
「あああああああああ!!!」
詠唱に入った巴に攻撃を仕掛けようとしたモンスターを斬り伏せ、蹴り飛ばし、指輪の風で吹き飛ばし、追撃を仕掛ける。
未熟な攻撃さえも、「ブースト」による強化で十分な攻撃となる。
「清水・・蒼雷・・疾風・・」
符に描かれた印が周囲の魔力を集め灰となり、魔力のみが中空に収束され、巴の前面の4点に魔力の塊が発生する。
「シァァアアアア!!」
上空から降り注ぐ火球。
目標は詠唱を続けている巴を含む後衛職ばかり。
「白き幽玄の姫君よ、契約の元私に力を!アイシクルブレイザー。」
想花が放ったスキルによって火球が相殺されていくが・・
全ては消しきれず、前衛が防ぎに入る。
・・集団から離れた位置に居る巴には一切の守りが無い。
「水は降りて・・道と成し・・」
左右の魔力の塊が水球へと変換されていく。
火球が迫るが詠唱に集中している巴は気がつかない。

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