《MUMEI》
折れた剣の成した事
「雷は迸り・・駆け巡る。」
上下の魔力の塊は雷球へと変換されていく。
火球は巴の眼前・・
「トモ!!」
さらに2体のモンスターを倒した狩月が巴に声をかけるが・・気がつかない。
「くっそ!!」
両手で剣を強く握り・・即座に体から溢れていた魔力が剣に通る。
強く踏み込む・・踏み込んだ足に魔力が溢れ、
瞬動を起動・・溢れた魔力が足元に爆発を生む。
加速・・火球を追い抜き巴の前へ。
着地・・脚に爆炎が舞う。
振り返る先は多数の火球・・振り返る動作に剣が続く。
ピシ・・ピシ・・
剣の許容量を超えて流された魔力は埋め込まれた宝珠を砕きながらもその一部を宝珠によって風の刃へと変換されていく。
変換されず残った魔力は放った本人の属性を発現させていく。「炎」へと・・
ビキビキビキ・・
振り抜かれる剣は砕けながらもその責務を果たす。
長大な暴風、炎の刃・・巴に向かう全ての火球を吹き散らし・・上空のモンスターの群れを焼き払う。
カシャン・・
砕けた剣が地面に落ち、澄んだ音を立てる。
「風は交わり・・雨と成す。」
符を持ったまま狩月の前に出る巴。
水球、雷球は後方・・手に持った符を正面の空間に叩きつける。
「攻符・・啼ノ雨!!」
それぞれの球体から一筋の流れが生じ巴の眼前で交わりながら収束されていく。
「開!!」
最後に叩きつけた符から風が巻き起こる。
その風は収束され始めていた水と雷の塊を拡散させ、真横に降る雨を作り出す。
雨には雷が混じり・・次々とモンスターを消滅させていく。
「啼ノ雨」(ナキノアメ)雷と水を混合し風で拡散、広域を攻撃範囲とする。
水と雷が混合される際、雷鳴が響くこと、拡散された水滴が降り注ぐ雨に酷似していたことからこの名が冠せられた。精霊術の水、雷系統の第8位に分類されている。
また、拡散させずに風を持って収束、巨大な水流として対象を攻撃する「啼ノ滝」(ナキノタキ)と呼ばれる符術も存在する。
数十秒に渡る符術が終わった・・
次々と消滅していくモンスター。効果範囲外のモンスターは他の後衛の放ったスキルによって消滅していく。

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