《MUMEI》
亮の事・・・
「だめ。行かせない。帰さないよ。」

 そして、頼みもしないのに以前付き合っていた女とキスしてたり抱き合ったりしてる写真をひっぱり出してきて灰皿の中で燃やしだした。結局、その亮の強引なパフォーマンスにほだされて同棲したんだっけ。

 最初は、新婚夫婦の真似事するのもママゴトみたいで楽しかったな。亮も盛り上がっちゃって毎晩のように二人で抱き合っていた。

 だけど結局、亮はどのバイトも長続きしなかった。亮曰く、「やりがいを感じない。」とか「人間関係が悪い。」とか揚げ句の果てには「俺の貴重な時間をこんなくだらない内容の仕事の為に費やすなんて、時間の浪費だよ。」とか言い出しちゃって。

 それには、もうさすがに開いた口が塞がらなかったな。

あのね亮、お金を稼ぐという事は、そんなに生産的じゃないのよ。今時、高校生だってもっと世間知ってると思う。

いつまでも自分の為だけに周りが合わせてくれる訳ない。でも口には出さなかった。

 前に一度チラッとそう言ったらふてくされちゃって、「お前に俺の気持ちなんて解る訳ない。」とか言って丸一日帰って来なかったのだ。

 次の日、亮は意味ありげに私の顔を覗き込んで、悪びれる様子もなく言った。

「何処行ってたか聞かないの?」

「実家でしょ。」

「後輩の女の子の所。ほら、話した事あるでしょ。なんか俺に気あるみたいだって子。彩、妬いてる?でも、みんな居たから、二人っきりじゃないからね。」

 他の女の影をチラつかせて、カマかけてりして反応を楽しむのは亮の得意技。全く、自意識過剰なんだから。疲れちゃう。

妊娠六ヶ月に入って、おなかも目立ち始めてきた。

 最近亮は、急に残業とか休日出勤が増えた。例の如く聞いてもいないのに「忙しい。」 を連発しだしたりして。

亮の会社ってそんなに儲かってたっけ?経費削減、リストラで残業なんてほとんどないくせに。おまけに急に神戸に出張ときたもんだ。

たかが浮気とタカをくくっていたがエスカレート気味な行動に私は、心底イラついた。

 妊婦だと女じゃないわけ?

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫