《MUMEI》
モカ
「コンッ・・」



いま僕の頭に缶が落ちて来た



≪痛っ?!≫




「カランカラーンッ、ゴロゴロッ」


≪あっ!ごめんなさい!痛かった?≫


僕は、しゃがんでいた


声の主を見る


≪えっ?!何で?!≫


≪ニューハーフ?!≫


しかも、お世辞にも綺麗じゃないし・・もっと言えば男が女装している感じ


≪キミ、名前は?≫


≪僕は・・レン・・・だけど≫


≪アタシはモカって言うの、宜しくね≫


≪どうでもいいけどさっ、モナカっ!この、へんてこりんな状況、僕に分かる様に説明してよ≫


≪あのねぇ、説明はするけどアタシは、モナカじゃなくてモカなの!≫


≪はいはい了解しました≫


レンは深い溜息をつき頭を抱えた


そして


≪何で?何でモカは絨毯に座ってるワケ?≫


≪服が汚れると困るでしょ≫


≪で、何で宙に浮いてるワケ?≫


≪僕、ワケわかんないよ・・≫


モカはレンに一冊の、分厚い本を渡した


それには


「魔法使事典」と書いてあった


中を覗いて見てみたが、レンにはさっぱり分からなかった


レンは高校生だ


現在特に悩んでいる事もない


レンはモカに本を返した


≪驚かないの?≫とモカは言う


≪最初は驚いたけど今はフツウ≫とレン


≪ねぇレン、アタシの所に遊びに来ない?≫


≪え〜っ、モカの所にぃ〜っ≫


≪あら失礼ね、レンの事タイプだけど襲ったりしないわよ≫


≪じゃあ行ってあげてもいいよ≫


≪その言い方、気に入らないわ≫


≪ったくもぉ・・・・行かせて頂きます≫


≪じゃあ靴を脱いで絨毯に乗って≫


モカは着地する


レンは、言われた通りにする


≪それじゃ行くわよぉ〜≫


「ビューン」


≪さぁ着いたわよぉ〜、これがアタシのお城なの


≪・・・・・≫


≪どぉしたのぉ〜、今お茶の用意するから座りなさいよぉ〜≫


≪・・・・・≫


≪ねぇモカって魔法使いなんだよね?≫


≪何よ突然、そうよ、それがどうかした?≫


≪じゃあ何でワンルームマンションに住んでて、自分でお茶入れてんの?≫


≪贅沢しないのがアタシのやり方だからよ≫


≪ふぅ〜ん、じゃあ何で魔法使いに何かなったの?≫


≪それは、先祖代々魔法使いだったからよぉ≫


≪それだけっ?≫


≪悪い〜?アタシは嫌だったんだけど魔法学校に入れられちゃったのよぉ≫


≪本当は女になりたかったのに・・・・≫


レンは思わず笑ってしまった


モカは睨み付けた


≪ごめん!ごめん!モカって面白いなっ!≫


二人は笑った


モカが入れてくれたお茶を飲む


≪ホントにお茶だった、緑茶だ≫


≪モカは、自分で自分を女にする事って出来ないの?≫


≪・・・・・≫


≪どうしたモカ?≫


暫くして


≪アタシには自分で自分に魔法をかける事が出来ないのよっ≫


≪そうか・・・他に何か方法はないのか?≫


≪一つだけあるけど危険なのよ≫


≪言ってみて≫


≪薔薇の国へ行って、女王からクィーンローズを貰うの≫


≪クィーンローズ?それがあればモカは女になれるの?≫


≪えぇ、そうよ≫


≪で、薔薇の国には行けるのか?≫


≪行けるわ≫


≪何故行かないんだ?≫


≪だから、さっきも言ったでしょ、危険なのよ≫


≪魔法が使えるのに?≫


≪薔薇の国に行くのは簡単なの、でもイバラの兵士が居るし、そう簡単には女王に会えないの≫


≪なぁモカ、僕は人間で、魔法も何も使えないけど、モカと一緒に薔薇の国へ行ってもいい≫


≪嘘でしょレン?≫


≪この顔、そう見える?≫


≪見え・な・い≫


≪じゃ決まり!後一つだけお願いがあるんだ


≪何、レン?≫


≪僕の時間を止めてくれないかな?学校もバイトも休めないからっ、頼む!≫


≪分かったわ≫


≪薔薇の国へと出発だぁ〜≫

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