《MUMEI》 番外編―同窓会Z―俺は木の裏に縮こまって、隠れた。 あの頃の様に、体が小柄じゃないから、見えそうで怖い…。 その時、俺はふと思った。 「なんで、俺は必死になってんだ?」 俺は、急いで口を塞いだ。思わず声に出してしまったからだ。 すると、まだ動き始まっていない鬼の、裕也がこっちを向いた。裕也は、犬並に耳がいい。 (ヤベー) 「そろそろ行くよ〜」 早紀が、闇に向かって叫び、鬼が走り出した。 裕也は真っ直ぐ俺の方へ来る。 (やばいやばいやばいやばい!) 俺の心臓は外に漏れそうな位、大きく音を立てている。 (逃げるか?) 俺は、裕也との間隔を伺ってみた。 約50m…行ける! 俺は、校舎へ向かって強く足を踏み込んだ。 気付いた裕也が追ってくる。 短距離選手だったプライドとして、捕まるわけにはいかない。 俺が、裕也を確認しながら走っていると、反対側から巧見と将が走って来た。二人の後ろには大輔が。 そこは一本道で、仕方なく俺は、プール脇の器具庫に潜り込んだ。 最悪なことに…巧見と将がついて来た。 (おいおいおい!) 前へ |次へ |
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