《MUMEI》
番外編―同窓会[―
「なんで着いて来るんだよ!」
俺は、なるべく外に聞こえないように怒った。
「いいじゃん!困った時はお互い様だろ?」
巧見が鼻の下を掻きながら言う。
「そんなの知るかよ。早く出てけ!」
「湊!自己チューだぞ!」
将が大声を出した。
気付いて口を塞いだが、遅かった。

「み〜つけた♪」
入口には二つの影。
影はゆっくり近づいて来て、抵抗すら出来なかった。


「優勝は‥鬼三人組〜」
早紀は、朝礼台に昇った三人を指差した。
三人は照れ臭そうに笑っている。
「あ〜あ、湊達が入って来たせいで俺まで‥」
「うっさい玉木!」
「そーそー、湊のせい」
「黙れっ将!!」
「ちょっと〜そこの馬鹿どもうるさい!」
早紀が怒鳴った。昔と変わらず声は通る奴だ。

賞品は、お菓子の詰め合わせと聞いて、俺達は大爆笑した。

―九時十五分
「それでは、これで十五年ぶりの再開同窓会を終了します」

あっという間に終わってしまった、懐かしく楽しい時間…。
かなり、淋しい…。

「帰ろうぜ」
酔いが冷めた凌一が肩を叩いた。
皆が、わらわらと教室から去っていく…。

…そういえば…

俺は、あることに気付いて廊下に居る奴らに叫んだ。
「おいっ!!写真撮ってねぇぞ!」
思い出したように早紀は走って来て、俺と一緒に皆を呼んだ。

教室には、やっとの思いで並んだメンバーが笑顔で居た。
「十五年ぶりの集合写真‥いきま〜す 」
早紀はカメラのタイマーをセットして、急いで皆の中に入った。

―カシャッ


―数日後―
俺は、髪をガシガシと掻きながら、新聞とった。
なかに、葉書が入っていた。
「ん〜?早紀ぃ?」
裏を見ると、昔と変わらない眩しいくらいの笑顔が並んでいた。

―いくら時が経っても、変わらぬ物はあると‥身をもって感じた‥。


「また、会いてぇな〜」

俺は、うんと伸びをした。

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