《MUMEI》 姫様ノ笑顔紬が最後のステップをふむと、わぁっと歓声が起こった。 紬は息を整えてスカートの裾をつまみ膝を曲げた。 「姫様お上手になりましたね。」 世奈婆さんが言った。 世奈婆さんは紬の踊りの先生である。 紬は微笑み 「世奈婆様のおかげですわ。」 と言った。 紬はポニーテールにした髪のゴムを取り結び直そうとした。 「姫様!あたしが結びます!」 そう言って手を高々と上げたのは肩よりすこしある髪をツインテールにした女の子のだった。 背中に羽があることから天使に認定されたのだろう。 「契約天使番号206麻貴です。10歳です。」 麻貴は丁寧にお辞儀をした。 紬は作り笑いを浮かべ「よろしく。」と言い、赤いゴムを手渡した。 ゴムを受け取ると麻貴は嬉しそうに髪を結んだ。 「はい♪できました。」 麻貴が言うと紬は手で髪を触り確認した。 「上手ね麻貴は…ありがとう。」 紬は微笑んだ。 麻貴は嬉しそうに一礼をして他の天使友達の所へ走って行った。 「ポイントゲット☆」 そう言ってブイサインをする麻貴が見えた。 姫様を笑顔にさせると1ポイント。契約天使候補の中でのただの噂だけど…。 前へ |次へ |
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