《MUMEI》
姫様ト少年
紬は力無く「そう…。」と言って少年の隣に座った。

「…酷いよね。」
「えっ?」

紬は沈みかけた夕日を見つめながら言った。

「だってさ…皆天使には変わり無いのに…天使でいられる一人と…そうでない人達が居るんだもん。」
「はぁ…。」
少年は首を微かに縦に振った。
「そんな…悲しむ人がいるのにさ、どうして天使を一人にしないんだろうね?最初から決めとけばいいのに…ねぇ?」
「はっ…はぁ…。」
紬は少年に同意を求めたが、少年は曖昧に答えた。

紬は苦笑いを浮かべた。
「無理して答えなくてイイよ。…あたしね…この決まりが嫌いなの。だから…従うなんてイヤ。…だからさ、一つ君に提案があるんだけど……?」
紬は立ち上がって少年の前に立って、少年を見た。

「あたしの契約天使にならない?」
紬は満面の笑みを浮かべている。

「はぁ……?」
少年はポカンと口を開けたまま、笑顔の紬を見ていた。

東の空が暗くなって来た。

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