《MUMEI》
作戦決行
紬は自分の部屋を指差して輝にそこへ飛ぶよう指示をした。

輝はベランダに着くと、紬が昇ってくるロープを抑えた。
紬は昇り終わると、急いでロープを片付けてベランダの策の後ろに隠した。

輝はボケ〜っと立ち尽くしている。
紬は輝をベランダに残したままカーテンを閉めた。

「えっ!?ちょっと姫様!?」
輝はカーテンに手をかけた。
紬はその手を抑えて、
「ドレスに着替えるから待っててね。」
と言った。
輝は仕方なく待つことにした。

しばらくするとカーテンが開いて、薄いピンチ色のドレスに身を包んだ紬が立っていた。
「お待たせ。…何ジロジロ見てんの?」
輝は思わず顔を逸らした。
「いや…あの…姫様のドレス姿…始めて見るものですから…つい…。」
「そうなの?エヘッこれはお気に入りなのよ♪」
紬はクルリと一回転して見せた。
「本当綺麗ですね。」
「ありがとう。輝にもそのうち、契約天使用の服が用意されるわ。色は指定できるわよ。」
紬は輝を中に入れカーテンを閉めながら言った。
「はぁ…あの姫様、王様への挨拶は…?」
「ああ…忘れてたわ。いいこと輝。契約天使番号は言わなくていい。それと、あたしの事は『姫様』じゃなくて『お嬢様』って呼ぶのよ。父上の前以外では『紬』で構わないから。ね?」
輝は大きく頷いた。

「じゃあ…行くわよ。王座の間に。」

紬は部屋の扉をゆっくり開けた。

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