《MUMEI》 龍と翼と騎士「風ヲ詠ミ、静身ヲ預・・」(風を詠み、静かに身を預け。) 翼を大きく広げ、一気に速度を殺し、瞬間を持って急降下。 動きを追いきれない炎弾はそのままの軌道でリアムの上を通り過ぎていく。 「詩纏テ、刃・・」(歌、纏いて刃) 急降下を急上昇へと変化させ、上から降り注ぐような形に追いかけてくる攻撃を螺旋を描くように回避していく。 「歌ヲ持、天ノ剣也・・」(歌を持って、天の剣なり。) 手に持っていたシルフィールドが魔力を帯び始め、空に蒼い軌跡を残す。 「歌ハ、遠音。」(歌うは、遠い音) シルフィールドにさらに魔力が籠められていく。 「響ハ風ノ詩。」(響くは風の歌) 追ってくる炎弾は後、数十発。 「故、此処ニ在リ」(ゆえ、ここにあり。) リオレイアの真正面に陣を敷くかのように悠然と翼を広げる。 「風ノ刃、此処二在り!!」(風の刃はここにあり。) シルフィールドを正面に構え・・手を放す。 「風ノ詩」(風の詩) 最後の一言と共に、正面に浮いていたシルフィールドは高速回転を始め・・ そこに次々と炎弾が直撃していく。 直撃した炎弾はシルフィールドの回転に巻き込まれていくように渦を巻き・・・周囲に延びていく・・ ヒュィィィィィィィィィィ・・ 全ての炎弾を受け切り、なお回転数を上げていく。周囲の大気もその回転に合わせるように大きく疾く疾く渦を巻いていく。 「いっけええええええええええええええええええええええええ!!!」 巨大な円盤状の刃となったシルフィールドが射出される。 「アアアアアアア!!」 リオレイアが咆哮し、シルフィールドに向かって多数の炎弾や、真空波が襲い掛かるが・・ 全ての攻撃を切り刻みながら一直線にリオレイアに向かっていく。 「――――――!!」 リオレイアは前肢に眼に見えるほど凝縮された結界を纏い、シルフィールドを打ち払い・・そのまま身を縦に大きく旋回させ、その長大な尾をリアムに向かって叩きつける。 ズドン!! 高速で飛来したモノが尾の結界を容易く打ち抜き、軌道を直角に捻じ曲げる。 「余計なお世話だったかな、リアム?」 バサリ・・ 碧色の翼を背にした彩詩が巨大な弓を手にリアムに笑いかける。 「ん〜別に。所で、その弓・・・神守の神弓?」 「そ、神守の家に伝わる4弓の内の一つ「緋ノ櫻」。威力が高過ぎるから、滅多に使わないけど・・こんなの相手にするなら丁度良いでしょ?」 弓を引き絞り、魔力を矢に通していく。 狙うは眼前。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |