《MUMEI》

秀幸はリングを外そうとするが

「あれ?外れねーぞ」
「え?簡単に入ったのに…」

俺が外そうとしてもふしに引っ掛かって抜けない。
見た目よりも指が太かったみたいだ。




「はめてると痛い?」


「いや、何ともねーけどよ、こりゃ石鹸じゃねーと駄目だな」





秀幸は諦めて動きを止めた。




「これ一番気に入ってていつもはめてるんだ」





「そーいやいつもしてるな、まあ欲しくて自分で買ったんならそうだよな」





つか一目惚れして狙って買ったんだもん。





この仕事始めてから
目がこえまくって、欲しいモンばっかりでマジ困る。


「なあ、これ俺にくれねーか?」



「え?気に入ったの?」






髪に暖かさを感じる。





秀幸は俺を抱き寄せたまま俺の髪に顔を埋めた。





「そんなんじゃねーけどさ、ずっとゆうちゃんがしてた指輪…、欲しいなって…、駄目か?変わりに欲しいの買ってやるからさ」





「はあ…もう、キュンとするじゃんかよ…。
こんなんで良かったらあげるけど…、でも俺が欲しいのスッゲー高いんだけど、約束しない方が良いよ?」

「バカにすんな、お前と俺じゃー収入が違うんだよ、何でも買ってやるよ言ってみな」

「マジか、本当?
じゃーこのリングのゴールドのやつ!つかめっちゃ高いんだけど…
あーやっぱりいらないや…」

言ってる途中で俺何ねだってんだかって。

いくら何でもちょっとあつかましい。

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