《MUMEI》
怪シイ影
「彼がわたくしの契約天使の輝ですわ」
紬は王様と輝と共に、街の広場に来ていた。
周りには街の人々が溢れ返っていた。

「不契約天使の者は、今朝街を旅立ったとは限りませんので、見つけた方は契約天使委員会までご報告を…」
司会役がそう言うと、紬達は広場の台から下り、城へ向かった。

紬はなにかに気付き、立ち止まる。
物影に誰かの人影が見えた。

―つけられている?

紬はゆっくり口を開いた。
「父上。わたくし、少し散歩がしたいので、歩いてきますわ」
「ああ…構わんが…輝よ頼むぞ。」
王様と目が合った輝は、深々と頭を下げた。

紬と輝は細い裏路地に入った。
路地の入口には人影が見えた。
「つけられているわ」
紬は、輝に聞こえるぎりぎりの大きさの声でいった。
「え゙!嘘っ!なんで?」
「そんなのあたしが知りたいわよ!」
「え〜どうすんの?」
輝は泣き出しそうな声を出した。
「静かにしなさい!おびき寄せるわよ」
紬はそう言って、ドレスの裾を掴んだ。
「撒いた方がよくない?」
「あのねぇ…そんな簡単じゃ…!」

紬は体が浮いたように感じた。
隣には輝が‥。
足元には街が‥。

後をついていたらしき奴らは唖然として空を見上げていた。

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