《MUMEI》

――直哉との事を…俺は秀幸に話した。


涙が止まらなくて…それでもたどたどしくだけど頑張って話して…、
秀幸は黙って俺の手を握りながら最後まで聞いてくれた。







そして俺の頭を撫でた後、秀幸はキッチンに消えてしまった。






何も言ってくれなかった秀幸に不安を感じながらも、胸のつかえが降りて、気が抜けて…俺はソファに横たわった。







テレビを集中せずただぼんやりと見つめる。






俺の事を嫌いになるのかどうかは秀幸の判断。






俺は話さなきゃならない事を言ったまでで。






頭に触れるとシャワーで濡れた髪、すっかり乾いてる。





結構時間かけて話てたんだな…、






心の中包み隠さず話すのって生まれて始めてかも知んない。







結果はどうであれ加藤には感謝しなきゃいけないな。





シャワーのおかげでまた睡魔が押し寄せる。






何気に俺って神経太いのかなあって思いながらウツラウツラしていると…




「おい、寝るな!朝飯用意したから食うぞ」

「え?」




秀幸は優しい笑顔で俺を見下ろしている。


「ほら、起きた」




俺は腕を引っ張られ起こされた。






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