《MUMEI》
「凄い、本当の朝食みたいだよ!」
味噌汁とか焼魚があって納豆と海苔まである。
家じゃ最近朝はパンだからスゲー感動。
納豆だけは外したくなくてパンに納豆はさんでまで食べてるけど、やっぱり朝はご飯だよね。
しかも海苔と葱が涙を誘うじゃないか!
「どーゆう意味だそりゃ…、まあいい、冷める前に食えよ」
秀幸は茶碗を持ち先に食べ始まった。
「いただきまーす!」
「どーぞ!」
俺も後に続く。
「あ、凄い美味しい!こーゆうのってどうやって作るかなんて全然想像つかないよ!」
「は…味噌汁は調理実習でもやるだろ…、いや、その発言は聞きずてならねーなあ、さてはゆうちゃん、なーんも作れねえな?」
「だって作る機会ないんだもん…、それに調理実習だって小学生の頃の話じゃん、忘れたよ」
ちょっと引け目を感じながら鮭に箸を入れる。
これもどうやって焼くのか聞いたらまた言われちゃうんだろうな。
「なあ、ゆうちゃん…」
「ん?何?」
――秀幸が真剣な表情で俺を見ている。
もしかして…
「言って…いいか?」
やっぱり…さっきの話の事かな……。
心臓が一気に飛び跳ねる。
バクバクしすぎて目の前がクラクラする。
何言われても…受け入れなきゃ…。
「うん……」
…怖いけど、俺は頑張って秀幸の眼をそらさず見つめた。
「箸…」
「…は…し?」
秀幸は大きく頷いた。
「前から気になってたんだけどよ、お前箸の持ち方間違ってる!
だからほれ見ろ!たかが鮭がぐずぐずになってる!」
俺は自分の鮭を見る。
そして秀幸のを見ると……
「うん、違うね…」
秀幸のは端から綺麗に減っている。俺のは…確かに酷い。
「それぜってー俺が直させる、全くもう…」
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