《MUMEI》
久々の学校
「八神っおはよう」
晴香は勢いよくドアを開けた。
八神は患者服ではなく、学ランに着替えていた。
「あれっ?八神…学校行くの?」
「行っちゃ悪いか。すみませんね」
八神は頬を引き攣らせながら、晴香に手招きをした。
晴香はベットに近づく。
「あれ取ってくれ」
八神は部屋の端にある車椅子を指差した。
「はいはい♪」
晴香は車椅子を取って来て、軽々と広げた。
「どうぞ♪」
晴香は車椅子を叩いた。
八神は両手を広げた。
「何?」
「悪いが、まだ一人では立ち上がれないんだ」
晴香は少し顔を赤らめて、息を吐いた。
「しかたないなぁ…」
晴香は、ゆっくり八神の背中に手を回して抱き上げた。

立ち上がった八神は、ヨロヨロと車椅子に近づき、勢いよく腰をかけた。
「学校に行けばいいんだよね?」
「ああ」

学校は病院から徒歩五分くらいだ。
晴香は、八神を押しながらゆっくり歩いた。

「校長室へいってくれ」
学校に着くなり八神は口を開いた。
「なんで?」
晴香は何度も聞くが、八神が答えを口にすることはなかった。

晴香はしぶしぶ校長室まで車椅子を押した。

八神は校長室の前に着くと、ヨロヨロと立ち上がり一人部屋へ入って行った。

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