《MUMEI》
直接対決
私達は、自宅近くの喫茶店で会う事になった。

「はじめまして。マユミです。ご主人様にはいつも可愛がって頂いています。」

 肌を露出したノースリーブのワンピース。

手の爪もさることながら足の爪にもピカピカのラメ入りマニキュアにトゥリング。長くて赤茶色の髪。


いかにも女である事を過剰に意識して、時々チラッとブラのひもなんか見せちゃう男好きのする女。


亮の大好きなタイプ。

確かに妙に男の前では、甘ったるくて、スカートのすそからスリップなんかちょっとはみださせてるような女、昔の亮のアルバムに何人かいたっけ。

「こちらこそ。主人がいつもお世話になっています。」

 妻の貫禄を見せつけようと私は冷静に言った。その態度に腹が立ったのかマユミは、急にかん高い声で、まくしたてた。

「妊娠を盾にして、結婚なんてモテない女のする事だよね。恥ずかしくないの?」

 感情剥き出しの挑戦的な言い方だった。

「それじゃ、結婚して妊娠中の妻がいる男を横取りしようとするあなたは、さぞかしモテていい女なんでしょうね。」

 私は、半分呆れて馬鹿にしたように、クスッと笑って見せた。女は、益々ムキになった。

「馬鹿じゃないの!もう亮ちゃんに愛されていないのに子供盾に取って我者顔で。いい加減に別れてよ!」

「遊ばれてるって分かんない女って可哀相。ごめんなさいね。私がこんな体だから主人がチョッカイ出したみたいで・・・。」

「なんですって!何この女、ムカつく!よくも言ったわね。亮ちゃんが愛してるのは、この私よ。あんたとは、五年同棲してて、情に流されただけ。顔も体も私の方が何十倍もランクが上だって、いっつも亮ちゃん言ってたんだから。みっともないからもう妻とか子供にしがみついて亮ちゃん縛るの辞めてくんない?」

 亮ったらそんな事言ったんだ。いくらなんでもヒド過ぎる。頭にきた。

「そんなに主人が好きならどうぞご勝手に。のしつけてさしあげるわよ。」

 一瞬、面くらったマユミの表情が妙に笑えた。

「後日、マユミさんには慰謝料の請求させていただきます。解ってると思うけど妻が妊娠中の不貞行為は、どこの裁判でもあなたに勝ち目はないからね。三百万は、覚悟しておいてね。」

「な、なによそんなはした金。いくらでもくれてやるわよ。」

「あら、本当?案外話の解る人ね。じゃ、あとで請求書送るわね。離婚はその後、弁護士を通じてね。月々の養育費の他に教育費も頂くからね。亮からも慰謝料として財産の半分、請求させて頂きます。スッカラカンの亮の事あなた養っていってくれる?頼もしいわぁ。」

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