《MUMEI》
幸せ
…あたし、梶野のこと、好き―…なんだ。


今まで恥ずかしさで閉じ込めてきた気持ち。


いま、はっきりと感じてしまった。


―…だって、もう怖さも無い。


…梶野がいるから。



もう淋しさも、虚しさも、どこかへ消え去った。


…梶野が笑ったから。



ひとを好きになるって、
きっと、こういうことなんだろう。


黙々と資料と格闘する梶野を見ながら、


優しい気持ちに包まれていくのを感じた。


自分の気持ちを
ちゃんと受け止めた今、

あたしの心は


幸せに満ちていた。

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