《MUMEI》
体育祭
「―…正々堂々、戦うことを誓います!!!」


赤、青、緑の旗を掲げ、
それぞれの応援団長が声高に宣誓し、

体育祭が、始まった。


空は快晴。

体育祭の前半の結果は、

青:450点、赤:425点、緑:400点で、
あたしのいる赤は、青に少し押されている。


「マキ、次選抜リレーでしょ??」


隣で『ムカデ競争』を見ていたマキに問いかける。


「あ!!そうだった!!
行ってくるね!…梶野も出るから、
ちゃんと見とくんだよ〜??」

「え!?そうなの!?」

「あれ?知らなかった??
あいつ、部活入ってないけど、
元から足速いみたい。…しかも、アンカー!!」

「…え!?アンカー…!?」


―…聞いてない!!

大丈夫かな…??


「じゃ、行ってくる!!
応援よろしく〜!!」

「うん!!頑張って♪」


マキは、編成所に駆けて行った。


しばらく一人で『ムカデ競争』を眺めていると、


「相原〜!!」


梶野が歩いてきた。


「梶野!?…もう選抜リレーのひと集まってるよ!?」


驚いて言うと、


「マジ!?…って、なんで
おれが選抜出るって知って…」

「マキに聞いた!!」

「…えー…
…かっこわりィとこ見せたくなかったのに…」

「…は!?」

「…だってよー…
こけたりしたら、ダセーじゃん!!」

「…もー!!!
こけたって、ダサくもなんとも無いよ!!
いいから、早く行かないと!!」

「うお、やべえ!!
…じゃーな、あんま見るなよ!?」

「ガン見してあげる〜♪」

「くっそー…」


とぼとぼ歩いていく梶野の背中に、声をかける。


「…がんばって!!!」


梶野が振り向いて、微笑む。


「…おう!!」




―…ドキドキしながら、
リレーが始まるのを待った。

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