《MUMEI》
まだ………
.





沖縄の海は今日も青い。


沖縄の空は今日も青い。




そして海からは幼い子供たちの元気な声。


何故か私の心は曇り出す。



「秋菜!!」


雅樹はいつもの笑顔………。




「雅樹…………」


「どうしたんだよ!!元気ないなぁ〜秋菜は笑顔が一番なのに」


「雅樹…楽しかった??」



私の心はどしゃ降り。



さっきできた曇り空から雨が大量に降り出したんだ。



「うん……」


雅樹は静かに答える。



私も楽しかった。



って、言えない。


実は明日…………
この沖縄から私たちは東京へ戻るんだ。




いつの間にか、3ヶ月が経っていたんだ……。



雅樹といる時間が楽しすぎて、時間が経つのを忘れかけていたんだ。



違う………。



忘れかけていたんじゃない。


忘れようとしてたんだ。





「俺さぁ…秋菜に会えたから強くなれた…芸能活動またやろうって思えた」



私は俯いたまま……


雅樹の話を聞いていた。



「秋菜に出会えなかったら…俺はどうしてたんだろうなぁ〜」


雅樹は声が震えていた。


また泣くの???


もう泣いちゃダメだよ。


「俺が出てる番組は絶対に見ろよな!!CDとか買えよ!?秋菜は俺が認めたファンだ!」


別に…………


私、ファンじゃないし…。


心のなかで苦笑いをする私。



そんな自分が可愛くなくて…。


「雅樹のばーか…………」


「バカ言うな!!」


雅樹は私の頭をクシャクシャしながら笑う。


私もそれにつられて笑った。


「やっぱり秋菜は笑顔が一番♪」


「ありがとう…………」





もう

終わり。




雅樹とは




終わり。





明日で…………








お別れ。






仕方ない……



って思う私と、






まだ嫌だ




って、





思う私がいた。

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