《MUMEI》
最終章・優精卵
 妻に直接対決を挑んできた気の強い女があっけにとられて口をぽかんと開けていた。

なんだか腑に落ちない顔している。馬鹿な女。

 家に帰って、私は慰謝料請求の他に家の三十年払いのローンの明細書と亮んちの寝たきりの舅の写真を入れた封書を送りつけてやった。

 
 その日帰宅した亮は、ほっぺたを赤く腫らして腑抜けた顔していた。


もう、最高。あぁ、おかしい。ざまーみろだわ。


今までの事許すのは、まだ時間がかかるけどとりあえずこのネタでしばらく笑えるからいいや。

 亮の家は、父親が元、大学の教授。母親が旧家の金持ちの家の典型的なお嬢様育ち。

亮の兄は、官僚。しかも超エリート。


なのにどういう訳か亮だけは、三流企業の平社員。どうやら、優性遺伝したのは、お兄様だけで亮は完全な劣性遺伝。世間知らずの箱入り娘がそのまま親になったような姑が亮の事甘やかしてくれたおかげで苦労したわよ。

 ふたことめには『家柄が』とか『上原家の嫁という立場』とかが口癖で、プライドが服きて歩いているような姑。


一番厄介だったのは、舅だったけど入院してからは金に任せて完全看護。お金持ちの家って案外冷たいのよね。でも、傍若無人な態度でやりたい放題だったらしいから当然といえば当然か。

 私は密かに期待している。この子が優性遺伝の兄の血を継いでくれる事を。

私は、もうとっくに亮の事は諦めている。
 今、おなかの中で動いてるこの子は、間違いなく【優性卵】なのだから・・・。

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