《MUMEI》
静から動…
フォーメーションは、U字コーナーへと差し掛かった。


その時…


U字コーナーを回り終えた岡ヤンの NSR は、只でさえ遅いペースを人が歩くような速度まで落とした。

すると後続のマシン達との間隔が一気に縮まり、コース上で渋滞が始まった。


オレ『岡ヤン、どーしたんや?』

兄貴『まぁ見とけ…』

兄貴は腕組みしたまま落ち着き払っていた。

まるでこの行動を予測していたかのようだった。


オレは兄貴の落ち着き様を信じて、岡ヤンを見守ることにした。


ポール・シッターの"特権"を行使した岡ヤン…

何か考えがあっての行動だらう。

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