《MUMEI》
葩雲雀
「いっいらっしゃいませ!ご注文は?」
寝ぼけているのか、あたしは馬鹿げた言葉を口にした。

―クスッ
彼は目を細めて笑った。

(ぅきゃ〜〜〜!可愛い///)
あたしは又見とれてしまった。

彼はドサッとカウンターに本を置いた。
参考書や辞書が沢山重なっていた。

あたしは一つひとつ値段を確認しレジに打ち込んだ。
「よっ四千二百五十六円になります。」
あたしが言うと彼はお財布をガサゴソあさり始めた。

「あっそういえば、昨日はありがとうございました。」
彼の手はピタリと止まり、彼はあたしに視線を移し微笑んだ。
「風邪‥引かなかったみたいだね、よかった。」

(やだぁ〜///そんな顔で見ないでぇ〜‥とろけちゃうぅ〜)
あたしが興奮していると、樋口さんが顔を見せ又我に返った。

あたしはそれをレジに打ち込みお釣りを差し出した。
彼はまだ袋に入っていない辞書達を見つめた。

(!!!)
「すみません!」
あたしは急いで紙袋に入れようとして……破った‥。
「あぁっ!!すみません!急いでやります!」
あたしがわたわたしていると、彼は笑って、
「ゆっくりで大丈夫ですよ」
と言った。

――ドキンッ
あたしの心臓は大きな音を起てた。

あたしはやっと入れ終わった袋をそっと差し出した。
「あの‥重くて破けてしまうので、下から持ってください」
「ありがとう♪律ちゃん」

――ドキンッ!!
再び心臓は大きな音を起てた。

彼はクスクス笑いながら、参考書を指差した。
あたしが参考書に目をやると、ピンクのマンガ字であたしの名前が書いてあった。

(あっ…見たのね…)
あたしは何故がテンションが下がっていった。

彼はにこりと笑い、
「どうもね」
と言い扉に手をかけた。

あたしはそれに無意識に反応し、
「名前は?」
と叫んでいた。

彼は目をパチクリさせ、
「雲雀…葩雲雀【はなやひばり】だよ」
と言い、店の外へ出て行った。



「雲雀さんかぁ‥」


それが彼との二度目の出会い…。

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