《MUMEI》
真夏の恋
―そして現在。八月―

「ぅあっちー」
あたしは服をバタバタさせながら叫んだ。

「こらっ!篠原はあとダッシュ三本残ってたろ?」
「ゼンバイ〜なんであたしだけメニュー増なんですかぁ〜?」
「三分遅刻したから」
先輩は悪魔の様ににこりと微笑んだ。

あたしは一人ダッシュをした。
終わるまで、皆は座り込んで待っていた。

「プハァー」
最後の一本が終わって、あたしは座り込んだ。
「おーい!篠原ぁ集合」
「ふぁあい」
あたしはヨロヨロと立ち上がり、先生を輪になって囲んでいる皆の元へ走った。

「えー明日の練習だが、あの名門神月高校陸上部と合同練習することになた」
おおっと歓声が上がった。
(えっ!?神月高校!?うっそ!?雲雀さんに会えるかもじゃん!!ぅきゃ〜///)
あたしが興奮していると、解散の声が上がった。

「終わった〜律、着替えよう♪」
「うん。ハア‥」
あたしはまだ息が上がっていて、友達の真由が心配そうに背中を摩ってくれた。
「ありがとう真由。もう大丈夫」

あたしと真由は、明日の待ち合わせの約束をして、部室の中で友達の美樹と一緒に三人お揃いの青い水筒でお茶(スポーツドリンク)会をした。
基本的には愚痴を言い合って、ストレスを発散する。

あたしはふと思った‥。
(雲雀さんは何部なんだろう‥)
あたしは、明日会えるかもしれないという淡い期待を胸に抱いていた。

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