《MUMEI》
偶然すぎる出会い
夏の眩しい日差しが校門で待つあたし達を照らした。
あたしはお気に入りのオレンジの手提げから水筒を取り出し、口を潤した。
しばらくすると、キャプテンと顧問の先生が、ユニフォームを着た細身の男の人を連れて来た。

「神月高校陸上部キャプテンの宮川さんだ」
キャプテンが言うとあたし達は深く頭を下げた。

「神月高校陸上部キャプテンの宮川総一郎です。分からない事があったら、なんでも聞いてください」
そう言うと宮川さんは、グラウンドへ案内してくれた。

校舎を通り過ぎると、公立高校では珍しいタータンのグラウンドが広がっていた。
フィールドには新緑の芝生が敷かれていた。
「すごっ!」
あたし達は一斉に声をあげた。

宮川さんは、部員を集めて整列させた。
あたしは目だけを動かし部員の顔を見た。

――あれっ?

あたしは宮川さんの右隣りの人を見て停止した。

―高い身長、整った顔立ちに黒の瞳に髪…スラリと長い足…長く綺麗な指…。神月高のユニフォーム…。

あたしは何度も瞬きをして又その顔を見た。

(うぅきゃぁあ〜!!ひっ雲雀さん〜!?)
あたしは顔をほてらせた。

あたしがガン見していたせいで、雲雀さんと目があった。
(ヤベッ;;)
あたしは思わず目を反らし、再び雲雀さんを見た。

又目があった。
あまりの美顔にまた見入ってしまった。
雲雀さんは、キャプテンに見えないように手を振った。
あたしは小さく頭を下げた。

(かなりカンゲキなんですけどっ!!)
あたしが興奮しているうちに、挨拶が済んでしまった。
慌て頭を下げた。
バレてないよね??

あたしは偶然に感動しつつ、興奮を心に押し込めた。

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