《MUMEI》 似てる…次の日の放課後から、私たちの練習が始まった。 ギターの真琴と千夏はタイミングがあまり合わず、失敗ばかりで…… ドラムの遥はどのタイミングでどこを叩けばいいのか分からなくて、リズムがとれない…… 私は楽譜を見間違えたり、ややこしいところでつっかかっていた……。 マサヤ「お前ら大丈夫か??」 まだ、1曲目も通せていない私たちに夏川は心配そうに問いかける。 マコト「悪いな…雅也……音が合わないんだよね」 チナツ「この曲…難しい」 ハルカ「本当にごめん…」 私は何も言わず、ただ俯いていた。 マサヤ「仕方ねぇよ!!失敗は誰にだってあるし!まだ、練習始めたばっかりだろ!!暗くなんな!!明るくやろうぜ!!」 夏川は笑いながら私たちを励ましてくれた。 私たちは少し、自信を持つことができた。 そのおかげか……… なんと1曲目を間違えることなく、終わらすことが出来た。 ハルカ「できたぁ!!!!!!」 チナツ「1曲目できた!」 マサヤ「お前らやれば出来る奴じゃん!!この調子でもう一回、やるぞ!!」 この日は1曲目を完璧に仕上げた。 20回くらいやって、私たちは完璧に曲を仕上げることが出来たんだ。 外はオレンジ色じゃなく、もう黒に近い色になっていた。 チナツ「また明日ね!!」 ハルカ「明日は2曲目だぁ―♪」 マコト「頑張ろうな!!」 3人はそう言って、走って帰って行った。 夏川と私は家の方向が偶然にも同じだったので、一緒に帰ることにした。 「夏川って本当に歌上手いんだね…ビックリしたよ」 「そうか??ってか、"夏川"やめてくれよ!!"雅也"って呼んで」 「分かった!!」 雅也は笑顔で頷いた。 やっぱり………似てる。 雅樹と似てる………。 笑顔も仕草も全て…。 神様は私を苛めてるのかな…?? 「秋菜んち何処?」 「えっと〜今見えてきた白いマンション」 「えっ!?まじで!?高級マンションじゃん!!1人暮らし?」 「1人暮らしだよ!!雅也は??」 「俺はこの道を真っ直ぐ行って3つ目の角を曲がったとこに家がある!!俺は1人暮らしじゃないよ!!まだ、家族と一緒に暮らしてる」 へぇ〜。 同じ方向って言っても家は結構遠いんだなぁ。 「じゃあ、私は此処だから…また明日!」 「おぅ!!またな!!練習、頑張ろうな!!」 雅也は大きく手を振って走っていった。 雅也の背中を見て思ったこと。 雅也の背中は雅樹の背中と似ていた…………。 そう……… 私に別れを告げて背中を見せて走っていった……… あの………… 雅樹の背中と―…………… 前へ |次へ |
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