《MUMEI》
つきもの
「マジかよ!」

声がする。うとうとしていた。えーと、 レイ だっけか。

「……守れない約束はしないから。」

流石に寒くて、自販機であったかい飲み物買ってしまった。それ以外は片時も離れず待っていた。

「ああもう、悪いコイツも乗せてって?」

どうやら、後輩の車で帰るらしい。乗っている間は窓なんか見てたけど座席が暖かくて眠っていた。

「起きろ!家聞こうとしたら寝やがって!」

たたき起こされる。どこかの橋だ。薄暗いけど鳥の声が聞こえる。日が昇るのかもしれない。

距離を取ってレイと言う男の背中を追う。
彼が歩くだけで目立つ。こんな長身だ、スーツも特注かもしれない。

歩幅が違うのか、引き離されて行く。たまに駆け足で追いかけて距離を保つ。

住宅地に入るところで振り向かれた。

「捨て猫かお前は!」

言われてみれば。

「でもこんなでかい猫はいない……」

「服乾かしたら帰れよ。」

俺の横に立つ。歩くのも俺に合わせていた。

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