《MUMEI》 腹の底にふつふつとどす黒いものが渦巻いた。 「お前には何も解らない。そうか……俺が好きなんじゃない?だから虐めたいんだろう。 でも残念ながら俺はお前が大嫌いだ、軽蔑する。キスもしない。」 「国雄はタイプじゃないから嫌いでいい。 律儀に元カノに操立ててんの?そんなに大事だったのに手放せる神経を疑うね。 可笑しいのはお互い様かあ。…………あははははは」 笑うな、笑うな、 「笑うな!」 片手で口を塞ぐ。こびりついて離れない声だ。 「……」 観察するように見られた。舌が手に当たる。 「……色狂?」 気まぐれに相手の下肢を触ったら、反応していた。 「……」 何も言わない。 「なんでお前みたいなの助けたんだろう。オイ何か言え。」 強く握ってやる。 「イぁ、」 「いやらしい奴。殴られてたのも色事が原因だったのか、売女?」 俺が触れば触るほど熱い息が漏れてゆく。男のモノを触ったのは遊びまくっていた大学の頃以来だ。 「……ふ、は、 ……レイ……抱け ないからっ、溜まっ……て るの? ……そんなに レイ悦……かった……?」 汚い口でレイを侮辱するんじゃない……笑うなってば!どうすればコイツが笑うのを止めるか…… 「わかったわ、お前を黙らせる方法」 もっと自分は冷静だと思っていた……。どうしてもこの笑い声を聞きたくない。コイツは俺を掻き乱す。 今までの俺を告発されてしまう、覗かれてしまう。 それなら従えてしまえばいい。他人から自分を遮断するための自己防衛に昔はよく使った手だ。 奪われる前に奪ってしまえばいい、屈服しろ。 笑い声の代わりに泣き叫べ 前へ |次へ |
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