《MUMEI》 過去形国雄は本来タイプではなかった。俺はもっと黒髪の似合う目元が鋭くて冷たい感じの日本男児が好きだ。 あれはカッコイイかもしれんが金髪で外人並の甘い顔だ。しかも体格が2メートルくらいで大柄過ぎる。 それもこれも引っくるめ好きなのは、惚れた弱みなのか。 フラれたも同然なのに通いつめてしまう。ストーカーかもしれない。向こうも抱いたこと気にして何も言ってはこないけど。 負け戦だ。国雄は元から女好きっぽいし、死人に勝てるはずないじゃないか。 ……でも好き。 身体の奥が疼いてる。 いつも女で我慢してたから抱かれたのは久しぶりだ。 セックスなんて性欲処理程度の冷めた印象しかなかったのに、六年ぶりの男は最高だった。いや、きっと男がじゃない、国雄が凄かったんだ。怒ったときの豹変ぶりもイイ。 やばい、収録移動中に勃ちそうになる。 携帯が光っている。着信アリの色だ。 知っている番号だった。 何を今更……。 ……面倒臭いな。萎えてきた。 前へ |次へ |
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