《MUMEI》 ……しまった。 一度あることは二度ある。 「酒井さん今何処……。」 彼女の財布が俺の上着に入っていて渡す羽目になった。本当は郵送したかったが無理矢理会うようにこじつけられてしまう。 近所の公園にいると曖昧に表現されて電話を切られた。 仕事帰りの早朝に公園まで酒井さんを探しにいく。何をしているんだ。 この辺りは何もないし仕方ない、知り合いに見られるかもしれないけど家に連れてくしかない。 「笹川君にこの辺りに住んでいるって聞いたの」 「待ってたの?」 「そうよ。部屋代返さなきゃいけないでしょ。」 彼女が首に巻き付いた、酒臭い。しかも胸を押し付けてくる。 「首、痛いよ」 「小暮君て、簡単に抱いてくれるんだとばかり思ってたんだけど、レイの話とイメージ違う。 あの子いつも小暮君といたのに……信じられなかった。」 「付き合ってた訳じゃない、ただの幼なじみだよ。」 「私は?ただの同級生?」 俺の腕に体を預け纏わり付きながら歩いている。 面倒だな……どうやって断るか。 使えなくなったとか? 「お帰り国雄ー、シャワー借りちゃった」 頭をタオルでガシガシ拭きながら高遠が出てきた。 服は上は着ているが下は下着だった。 酒井さんは目を丸くして硬直している。高遠の顔がタオルで隠れている間に風呂場に押し戻す。 「お楽しみの邪魔だった?」 「……うーん……」 「安心して、すぐ出てくから。いたとしても眠れさせてくれないだろうし? あ、甥っ子って言っといていいから。」 高遠は下を履き始める。 不本意だけど、仕方ないか。肩に掛かっていたタオルを高遠の頭に被せた。 「協力して」 高遠にだけ聞こえるボリュームで囁いた。 「何、急に…………ア、 はっ……」 頬の辺りをめくり上げて出てきた耳たぶを口に含む。熱っぽい吐息を漏らした。 「今日は出血大サービス。」 高遠の口元だけ出して目は見えないようにしたままキスする。一度離し舌を伸ばす。口の端から嘗めてやる。高遠も舌を出して先をぶつけ合い、絡ませる。 「は………………」 声で分かる、恐らくもう感じ始めているのだろう。 ピチャピチャという音が聞こえて滑り易くなったとこで唇で塞ぐ。 「ふ…… ン、」 まだ我慢してる。 高遠の興奮してきている下を撫で回し先を撮む。 「 あン、 ア、 ……んァっ 」 強く触るときわざと舌を休めて啼かせる。 足が立たなくなってきた高遠の腰を持って床に唇と共に押し付けていく。 「 ……ふア、 あっ 」 「酒井さん 俺、用事思い出しちゃった。」 肩まで居間にはみ出た状態で酒井さんに断りを入れる。彼女のいる玄関からは下半身は何をしているか分からない。触るたびに高遠が肩を揺らし床が煩いからあまり隠す意味はないかもしれないが。 顔は分からないようにタオルを被せて片手で押さえてある。 彼女は酔いも冷めたようで無言で出てってくれた。 「……どーもありがと。」 キスを再開した。顔を隠してた手も下半身に加勢させる。ここまで乱れてくれたんだ、出させてやるくらいの許容は兼ね備えている。 口と手のピッチを早めた。硬度が増してゆく。 「……………… ッ!」 ビクン 高遠の腰が引けたと同時に俺の両手いっぱい濡らした。まだ余韻で痙攣している。 「…………」 手を洗う。高遠は顔をタオルに被せて床に倒れたままになっていた。 「え、失神したの?」 顔を覗き込んだ。タオルをめくる。 「しねーよ!」 頭突かれた。 「……痛ぁ!」 眩暈がする。襟を咄嗟に引っ張ってしまう。 鎖骨に赤み帯びた斑点があった。 「離せ!」 「なんだそれ……殴られて懲りたんだろう?」 「好きでもないくせにそういう世話焼くな!中途半端が一番厄介なんだよ!俺が誰かに抱かれてても国雄には関係無いじゃないか!」 すぐさま襟を掴んで鎖骨を隠された。 「お前泣いてるのか?」 「泣いてるように見えるか馬鹿!」 「見えるよ」 鎖骨のキスマークに触れようとしたら引っ掻かれた。 前へ |次へ |
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