《MUMEI》
過去進行形
「好きだって言うやつが誰しも触られたがってると思うなよ、お前よりカッコイイやつなんていっぱいいるんだからな!」

出て行ってやる。どうしても許せない。厄介者を追い払うのに利用されて、それでも触れてくれて嬉しいだなんて。

本当、なんで自分が泣いてないのか不思議だ。
自分家の鍵を開けるとき国雄の鍵が手に掛かる。もう会わない方がいい。一つの思い出としてキーホルダーみたいに付けておこう。

廊下に人影がある。

「何処行ってた?」

「なんだ、起きてたの。電気つければいいのに気持ちが悪いな。」

「夜歩きまだしてるんだ。」

「んー、まあね」

「浮気してない?」

後ろから抱きついてきた。腰と肩に纏わり付く手がうっとーしい。

「……いつ帰るの、来なくても言われた分送る。」

「久しぶりの再会なんだからもっと懐かしもうよ、せっかく会いに来たんだ。
俺はお金も、光も全部欲しいんだよ。」

老けたな。目尻に皺が浮き出ている。

「フーン。」

無駄なことだ。背丈も俺の方が高くなった。




ちっせー男。

それでも断り切れないなんて、やっぱり俺は眼鏡がいいんだろうか……?眼鏡を取ってみた。

「何?キス……?」

見すぎて勘違いされた。

「嫌です……。
こんな顔してたっけ?今だったら俺の方が恰好良いよね。
その髭、剃らないの?似合わないな。」

キスは好きな人とじゃないとしたくない。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫