《MUMEI》
距離
床に倒れていた俺の全身に千歳が飲みかけの水をかけた。

「……冷た……。」

ひくひく肩が震えた。取りあえず起き上がる。
さっさと千歳は着替えていた。

「寝るから退けて。」

千歳の寝床は居間で床に敷布団を敷いている。ちょうど俺が倒れていた位置だ。
風呂に行くまで億劫になって休んでいただけなのに。

「明日から俺、遠征で二日間ここ空けるから。」

「休めばいいのに」

「絶対嫌だ。」

最初は下心からの入部だったが実は面白いと思っている。……木下先輩が特に面白いのだが。

裏方の仕事も嫌いじゃない。仕事のとき機材とか気になるし。





……なんて、綺麗事か。
千歳と距離を置きたかっただけだ。

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