《MUMEI》 取引「最後までモノ扱いですか……。」 灰皿に煙草を押し付けた。 「モノじゃないよ猫さ。」 「…………わかりました。」 彼は上着の内側から何かを取り出して見せてくれた。 「ナニコレ。」 「貴方のモノです。」 渡されたのはカードだった。いくら入っているか俺に耳打ちする。 「……儲けるねホストって」 現実味の無い数字の羅列に口の端が上へ歪んだ。 「借金返せますか?」 「……返せるよ。余るくらいだ。」 指で数えて桁を何度も確認した。 「これで取引しましょう。高遠光と交換です。」 「…………傑作! 俺のレベルに合わせて買うって結論に到ったんだ?」 この男は楽し過ぎる。 「……黙れ。」 昔の切り付けるような視線で睨み付けてきた。 前へ |次へ |
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