《MUMEI》
寂しさ
.



夢を見た。


遠くの方に誰かがいる―…


意外にも視力がいい私はそれが男だとゆうことは分かった。


誰―………????


誰なの―……………???????


そう言いたいのに声が出せない私…。


すると彼は走っていってしまった…。



待って………



待ってよ……!!





行かないで―………………!!!!












―ジリリリリリリ


不快な目覚まし音が部屋に鳴り響く。


私はそれで目が覚めた。


枕に手を当てる。


びしょびしょだ…。


一瞬だけ鏡に映った私は、雅樹に別れを告げた日のように涙をながしていた―……。













この日の放課後も、バンドのメンバーで集まって練習をした。

残念ながら2曲目を完璧にすることは出来なかった。













遥たちに別れを告げ、今日も雅也と一緒に帰る。


「今日はうまくいかなかったね」

「そうだな〜まぁまだ時間はあるし、焦らなくても平気だ!」

雅也は前向きだなぁ…。


何か羨ましいよ…。


「そういえば秋菜はMASAKIの"last time"って歌は聴いたことある?」


「……………ないなぁ」


「秋菜は聴いたことないのか!!真琴たちは聴いたことあるみたいだけど…じゃあ秋菜にはCD貸してやるよ!!一回ぐらい聴いとかないとキーボード弾くの大変だろ!?」


雅也はカバンのチャックを開けて、カバンの中を探る。


出来れば……


聴きたくない………


でも…………


聴いてみたい………


何なんだろ…

矛盾しすぎだよ、私…。

自分が分からなくなる。


「ほい!!ちゃんと聴けよー!!じゃあまた明日な♪」


雅也は私にCDを手渡して、走っていってしまった。









何故か私は



寂しさに包まれていた。

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