《MUMEI》
抱きしめたくて
「仕事は?俺はほぼ休みだけど……」

窮屈そうに高遠は疱いた。

「あるよ。でも、今お前を抱きしめられないことの方がずっと辛い。」

「……えーと?この場合どうすればいいかな……」

戸惑う高遠にまた口付けする。笹川千歳が会いに行った理由が分かった。


熱を孕んだ唇が痺れるように吸い付く、細胞の一つ一つが記憶している。



離れれば離れる程感覚が奪われ、情報で映像で見かける彼は以前にも増して成長し、より人を魅きつけ輝いていた。
独りであることでこの男の魅力を最大限に引き立てるのだ。

「お前は性別関係なしに絶対好きになるタイプじゃなかったのに……。
汚れたお前を知る程、綺麗にしてやりたくなった。

今のお前は本当に綺麗だよ。名前の通り光に溢れている。
俺もお前も今は会わない方が良かったけれど、あの時会って良かった。

レイは救えなかったけどお前は救えた。」

言葉を伝えられた。



「後悔しないで……、俺は初めて会えたときから幸せだった、それだけで救われた。国雄のために、国雄と会えたことを支えに仕事だってやってきた。


大好き、大好き、



熱くて熱くて堪らないよぅ……」

擦り寄せ懇願する高遠の肌に体温が浸みていく。

「……ベッド、行こうか。」

耳元で息を吹きかける程度に発声する。
下心込みで誘っていた自分を今更ながら自覚した。

朱を引いたような肌と潤んだ瞳を向けてずっと見ていないと分からない程度に頷かれた。

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