《MUMEI》
真実
真っ赤な嘘に、嘘みたいな本当。

本当のような嘘に、ありのままの真実―…



その全てをごちゃ混ぜにすることで

梶野は、自分の本当の気持ちを

誤魔化してきたんだ―…


「…おれ、いつの間にか、
そうすんのが楽になってた。」



―…気づかなかった。

あたしも、クラスの皆も―…
誰一人として。


梶野の、本当の気持ちに。


「…だからさ、入学式の日、
相原がおれの嘘見破ったのが、
なんか、すっげえ嬉しかったんだ。

―…なんか、ほっとした!!」


そう言って笑った梶野の瞳は、
とても優しかった。



「…梶野!!」



―…そうだ。

梶野には、笑っていて欲しい。


あたしに出来ることなんて、
何も無いかもしれないけど―…




「…嘘ついたって、梶野は梶野なんだから!!

―…それは、永久不滅の本当でしょ??」




―…ただ、思ったことを、口にする。


…だって、梶野は梶野だ。


それは、


誰にも曲げることの出来ない真実。



「…おう。
―…そーだな!!」



梶野はいつもの笑顔で、
あたしの頭をくしゃっと撫でた。


「……で、相原。」


笑顔を消して、
あたしの頭から手を離す梶野。


「…なんで、おれが最近
職員室に呼ばれるか、って話」

「…う?うん…」


また、梶野は唐突に話を戻す。

でも、次に梶野の口から出た言葉は、


あたしの想像を遥かに越えたものだった。











「…おれ、引っ越すんだ」

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