《MUMEI》

別れてからも、しばらくは同じ生活が続いた。

・・・違う。

ホントは違っていた。

言葉は交わすのに、

手が届く距離なのに、

触れ合うことはなくなった。


朝起きて、

「おはよう」

と言い、

眠る前に、

「おやすみ」

と言う。

そんな日々に、私は甘えていた。


付き合ってなくても、

一番近くにいるのは私で、

二人の生活は心地良くて、

私は特別なんだと、

そんな馬鹿げたことを信じていた。


周りがどんなに非常識と言っても、

家族のようなこの関係は永遠に続いていくのだと。

そんなはずないのに。

勘違いしていた。

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