《MUMEI》 栗栖は、俺がつけているヘアピンにまだ文句を言っている。 「そのリボンがめちゃめちゃウザイわ。由紀ねぇに似合ってたのに」 「俺も似合ってんじゃん」 「どーこーがーよ! まったく…どうせ、今日のラッキーカラーが」 「そっ!赤だったんだよ!けど赤のものがなくてさ〜。姉貴に借りちゃった☆」 「…あのねぇ?そんなの信じても、意味ないと思いますよ?タカユキさん」 飽きれ顔で栗栖が言う。 「いーや!!!絶対続けてれば俺にだってっ…!」 拳を握りしめて天井を見上げる。 横で栗栖がため息。 そもそも、何で男の俺がラッキーカラーなんかにハマッたのかとゆーと… ことの始まりは、2週間前に遡る。 前へ |次へ |
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