《MUMEI》
心の中の涙
,




ザー………



放課後、私たちが帰る時間になっても雨はやんでいなかった。

ハルカ「最悪………」


遥は傘を傘立てから取り出し、窓の外を見ながらそう言った。

マサヤ「また濡れる!」


この雨………


いつになったらやむのよ…。


本当に困る。


チナツ「この雨……」


もう私たちしかいない教室で千夏の声と雨の音だけが響いた。


チナツ「今の私の心だ…」



千夏のイキナリの発言に私と遥と雅也は言葉を失った。


チナツ「……なーんてねっ!!あははは!びっくりさせてごめんね!!じゃあまた明日!」


千夏は重い空気の中で明るくそう言い、教室から去っていってしまった。


何だったの…??


今の千夏………。


私たちは沈黙状態のまま、千夏が出ていった教室のドアを見つめていた。


しばらくすると、真琴が教室に入ってきた。


それと同時に私たちは我にかえった。


マサヤ「おっ…お〜!!真琴!!何処行ってたんだよ!」


雅也が聞いても、真琴は俯いたまま何も言おうとしない。


ハルカ「………真琴、まさか…」


遥は、何かが分かったのだろうか…


ハルカ「千夏のところ行ってくる!」

と、言って教室から出ていってしまった。


マサヤ「真琴…………??」


マコト「……………れたんだ」


マサヤ「え??」


雨で真琴の小さな声はかき消され、私と雅也は聞き取ることが出来なかった。


すると
真琴はまた口を開いた。













マコト「千夏に告白されたんだ…」














………え……………??



私と雅也は呆然としていた。



千夏が真琴に?



千夏は真琴のこと好き………だったの………??


マサヤ「で………まさか…」


マコト「…………フッた………」






真琴がそう言った瞬間にさっきの千夏の言葉が蘇ってきた。



―「今の私の心だ…」―





マサヤ「……………何で……」


マコト「何でって仕方ねぇだろ!!千夏のこと嫌いじゃない!むしろ好きだよ!!けど、俺の好きは恋愛としてじゃない……友達としての好きだったんだよ…千夏が俺を好きなのは嬉しいけど千夏の気持ちには応えらんない」




千夏―………



この雨は本当に………





千夏の心の中の涙………








なのかもしれないね―………





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