《MUMEI》
現実逃避の左団扇
30周目…

間もなくレース開始から20分が経過しようとしていた。


2位とのタイム差は20秒以上に拡がり、コース半周もの差がついている。

岡ヤンは相変わらず独走状態をキープしながら逃げていた。

もうかれこれ半数以上のマシンを周回遅れにしている。

JOG に至っては、何度抜いたか解らないほどだ。


兄貴『もう安心して見てられっな〜(笑)』

デブな巨体が左団扇で笑っていた。


だがその姿は、この後の心配事から目を背けているようにも思えた。

(心配事=オレ)

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