《MUMEI》

「……」


「……」


「…おまえ、いい度胸だな…」


「……」


「その頭で、よくもまぁこの部屋に…」


「……」


「…、はぁ、

座れ」


言われたとおり、ソファーに座る。


中山は、俺の金髪をまじまじと見てるようで、

けど俺は、ずっと下を向いていた。


「…フラれたのか」

「…」こくん、と頷く。

「ダメだったかぁ…」

中山の珍しく優しい声に、昨日から我慢してた涙が出そうになった。


「泣いてんのか」

「…っ、泣いてねーよ…」
「バカだなぁ」

「うっせー…」

「ま、世の中そう上手くいかないもんさ。どんまいどんまい」

「それ本当になぐさめてんのかよー…」


失恋くらいで泣くなんて、なんて情けないんだろ

俺、超かわいそう…

…なんつって。



「ほら、反省文は勘弁してやるから、染めてこい」

デスクの引き出しから黒染めを出して俺の前に置いた。


「あ、待って、写メとる」
「アホ」

「だって滅多にねぇじゃん。それに結構似合ってね??」

「ただの不良だ」

「携帯かばん中だから取ってくる!」


ガラッ
「わっ!」

「!!」


何で、ここに…?

「ここにいたんだ…、ねぇ、さっきの」

「俺急いでるから」

「ちょっと!栗原!!」


栗栖の顔が、少し寂しそうに見えたが、絶対気のせいだと、無理やり消した。

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