《MUMEI》 君色「ねぇ」 「ん?」 二人で、フェンスにすがって空を見る。 栗栖は、少し離れたところにいる。 俺が、自分を避けてるとまだ思ってるから 「今日のあの金髪、ラッキーカラーだったんだよねぇ?」 「そうだよ」 「効果は、あった?」 「全然。逆に最悪なことがあった」 「えー、そうなの?当たるはずなのに…」 「当たんねーよ。俺は日頃の行いがよくないからな」 「そんなことないよ」 「何でそう言えんだよ」 「あたしは、当たったもん」 「は?」 すると、栗栖は俺のほうを向いて、腕時計を指差した。 「知ってた?あたしと栗原、誕生日近いんだよ」 「え…」 「だから、ラッキーカラーも一緒」 「…」 「気付いてなかったでしょ?あたしも、同じ色のものを毎日身につけてたの」 「……!?」 「あたしは、ラッキーカラーを信じてから、いいこと尽くしだったよ 前より話す回数が増えた 恥ずかしがらずに名前を言えるようになった 自転車の後ろに乗せてくれた 自分が、優しい人間になってくのを感じた 距離が、近づいた感じがした」 「…」 栗栖はまっすぐ俺を見てる 俺は、その姿に目が離せない 「彼女、ほしいんだよね? あたしじゃ、ダメかな?」 「!!」 「栗原に似合うように努力するから、だから… あたしと、付き合ってください」 俺は栗栖まで走って、ギュウってめっちゃ抱き締めた。 苦しいって言ってる栗栖の言葉なんか聞こえないふりをして。 「ラッキーカラーまじサイコー!!!!!!!」 って、めっちゃ大きな声で叫んだ。 あのヒコウキ雲に、届くように 前へ |次へ |
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